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事業再生の核心とは何か 〜「ファシリテーション力」で組織を動かす経営改善〜

コロナ禍を経て浮上する事業再生の課題

2020年以降の新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの中小企業が深刻な経営危機に直面しました。政府による資金繰り支援策(無利子・無担保融資など)により一時的に延命された企業も、2025年に向けた返済ピークを迎える中で「資金繰りの壁」「人材流出」「売上の不安定化」といった新たな問題に直面しています。

こうした中、事業再生の現場では「ただの計画策定」や「経営者へのアドバイス」だけでは、実効性ある再生は実現しません。再生計画の内容以上に重要なのが、「その計画を推進する組織の力をどう引き出すか」にあります。

計画書は“紙”に過ぎない。再生の鍵は“組織を動かす力”

事業再生の現場では、多くの関係者が再生計画の策定に注力します。しかし、実際にその計画が「動き出さない」「続かない」「形骸化する」といったケースは少なくありません。なぜなら、計画書はあくまで“紙”であり、組織が本気で動かなければ「絵に描いた餅」に過ぎないからです。

このギャップを埋めるカギが、「ファシリテーション力」です。

ファシリテーションとは、「人々の活動を円滑に進める支援・舵取り」を意味します。単なる会議の進行役ではなく、組織に内在する課題や本音を引き出し、対話を通じて当事者意識と行動を喚起するためのスキルです。特に事業再生局面では、このファシリテーションが“組織を動かすカンフル剤”として機能します。

「危機感の醸成」→「安心感の提供」→「組織能力の底上げ」

再生を成功させるには、次の3ステップを丁寧に進める必要があります。

ステップ①:危機感の醸成

組織を動かすには、まず現状に対する“本質的な危機感”を共有する必要があります。単なる数字の報告ではなく、

  • 債務超過額・償還年数などの財務指標
  • 同業他社との比較
  • 従業員へのヒアリング結果(ビジョンの欠如、リーダー不信など)

といった定量・定性の両面から“現状の深刻さ”を可視化します。特に経営層に対しては、「なぜこの事業を続けたいのか?」「誰のために?」という原点への問い直しが重要です。

ステップ②:安心感の提供

危機感を共有した後は、「改善の道筋がある」という安心感を示す必要があります。たとえば、

  • 利益構造の“見える化”(利益ドライバー分析)
  • 金融機関の支援意向の整理と提示
  • 類似企業の再生事例紹介

などによって、「やればできる」実感を醸成します。特に計画策定段階で“既に黒字化に近づいている”成功体験を設計することが有効です。

ステップ③:組織能力の底上げ(育成)

最終段階では、幹部・従業員の「自走力」を高める取り組みが不可欠です。これは単なるOJTやマニュアルではなく、

  • 経営者・幹部の目標管理スキルの育成
  • PDCAの仕組み化(幹部会議の活用、面談制度)
  • ファシリテーションによるチーム内の対話促進

などを通じて、組織内に「考えて動く」文化を根づかせていきます。ここでも重要なのは、支援者が「黒子に徹する」こと。あくまで“組織が主体”であり、外部の支援者が経営を代行するべきではありません。

具体的事例に見る「ファシリテーションによる事業再生」

当社が支援したある製造業では、5期連続赤字・債務超過3億円という厳しい状況から、わずか1年で黒字化+債務正常化を果たしました。

ポイントは、

  • 若手幹部への重点育成(目標管理シート導入+面談)
  • 利益ドライバーを基にした「現場発」の改善テーマ設定
  • 金融機関と連携した資金繰り調整と情報開示

といった一連の流れを、“現場主体”で進めた点にあります。当社はその舵取りとして、ファシリテーションを通じて会議設計・対話支援を実施しました。

結果として、各部門が自発的にコスト削減策や新商品開発を推進し、最終的には売上15億円増・債務超過解消という成果につながりました。

※事例については、クライアントの機密を守るために、内容調整を行っております。

事業再生の本質は「組織変革」そして「人の再生」

事業再生とは、単なる数字の回復ではなく、「人と組織の再生」に他なりません。厳しい状況にある経営者や従業員が、もう一度未来に希望を持ち、自ら動き出せるようになる──。そのためには、「外から教える」ではなく、「内から引き出す」支援が必要です。

当社では、元キーエンス営業企画部門の経験を活かし、科学的アプローチ×対話による「自走力支援コンサルティング」を展開しています。

「計画書はあるけど、動かない」「社内がバラバラ」「経営陣が機能していない」──
そんなお悩みをお持ちの企業様、まずは一度ご相談ください。

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