今、考えるべき「事業承継」の本質とは ~「相続」や「財産」だけでは語れない、未来をつなぐための準備~
1. 迫る中小企業の事業承継クライシス
中小企業庁によれば、2025年には日本全国で約245万人の経営者が70歳を超えると見込まれ、その半数以上が「後継者未定」の状態にあります。これは、今後10年間で数十万の企業が廃業の危機に瀕する可能性があることを意味します。
事業承継が進まない理由は複数ありますが、よく耳にするのが「後継者がいない」「承継の準備に何から手をつけていいか分からない」という声です。加えて、親族間の利害や従業員への影響、金融機関との関係性など、外からは見えにくい複雑な事情も背景にあります。
多くの経営者は、日々の経営に追われ、承継の優先順位が後回しになります。しかし、いざ引退を考えたときに「もう手遅れだった」というケースは少なくありません。だからこそ、「まだ元気なうち」に、早期の計画と準備が求められているのです。
2. 「相続対策」や「財産分与」だけでは不十分
事業承継という言葉を聞いて、まず思い浮かべるのは「相続」や「財産分与」といった税務や法律の問題ではないでしょうか。確かに、株式や不動産などの資産をいかにスムーズに承継するかは重要な論点です。
しかし、そこで終わってしまうと、本質的な「事業承継」にはなりません。
なぜなら、事業承継とは単なる「モノの移転」ではなく、「経営の継続」そのものだからです。先代が築き上げてきた事業の価値は、帳簿上の資産にとどまりません。長年にわたる取引先との信頼関係、地域とのつながり、従業員の結束力、現場の肌感覚——これら“見えない資産”の継承こそが、承継成功のカギを握っています。
3. 本当に引き継ぐべきは「事業」そのもの
本質的な事業承継を考えるとき、引き継ぐべきは「事業そのもの」です。具体的には、以下のような要素が含まれます。
- 財務会計の理解
- 経営の舵取りに欠かせない損益・資金繰りの把握、投資判断、経営指標の読み解き力。
- 営業力
- 売上を作り出す力。既存顧客との関係構築、新規開拓の戦略など、利益の源泉を継続的に生み出す仕組み。
- 人心掌握力
- 社員の信頼を得て、組織として前進するためのマネジメント力やリーダーシップ。
- ネットワークの継承
- 先代が築いた取引先・金融機関・業界団体などとの「関係性」も無形の重要資産です。
- 暗黙知・経営哲学
- 言語化されていない現場の勘や社風、経営理念といった“見えない資産”も含めた継承が求められます。
これらは、単に文書で渡して終わるものではありません。一定期間をかけて、後継者と対話を重ね、現場を共にしながら体得させていく“プロセス”が必要不可欠です。
4. 経営者個人の「想い」もまた大切な財産
「事業は我が子のようなもの」と語る経営者は少なくありません。長年にわたり経営を続けてきた中で、数えきれないほどの苦楽を乗り越えてきたはずです。その「想い」や「哲学」こそが、会社の文化や意思決定に深く根付いているのです。
ところが、事業承継においてこの“経営者の想い”が後継者にうまく伝わらず、会社の方向性が揺らいでしまうケースもあります。事業承継とは、単なるポストの交代ではなく、「経営理念を次世代に託す営み」でもあるのです。
5. 弊社のサポートが「経営のバトン」を確実に渡します
当社では、事業承継における「見える資産」と「見えない資産」の両面を捉えた包括的な支援を提供しています。税務・法務・財務の専門家はもちろん、組織マネジメントや営業基盤の再構築、人材育成まで、ワンストップで伴走いたします。
さらに、経営者の「想い」を後継者にどう継承するか、暗黙知をどう言語化・可視化するかといった支援も重視しています。事業承継は一朝一夕では完結しません。だからこそ、計画立案から実行支援、定着までを中長期的に支援するパートナーが必要なのです。
<まとめ>
今後5〜10年で、数多くの中小企業が事業承継の岐路に立たされます。そのとき問われるのは、「事業そのものをいかに引き継ぐか」という本質です。相続や資産移転だけに偏らず、経営の現場・人・ネットワークをまるごと承継するには、時間と対話、そして専門的なサポートが不可欠です。
未来へ経営をつなぐその一歩を、今、踏み出しませんか?