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【経営判断を誤らないために】中小企業こそ導入すべき「管理会計」の真価

はじめに:なぜいま「管理会計」なのか?

中小企業の経営者の中には、「会計は税理士任せ」「数字は苦手」という方も少なくありません。しかし、その状態で経営を行うのは「地図を持たずに冒険に出る」と同じ意味を持ちます。その冒険はかなりの確率で失敗することが懸念があります。

本コラムでは、経営における「管理会計」の意義と、その導入がもたらす効用について、中小企業経営の現場での実践例を交えて解説します。

管理会計とは?

「管理会計」とは、企業内部の意思決定や業績管理のために用いられる会計手法です。法律上の提出義務がある「財務会計」とは異なり、**経営者自身が意思決定や戦略立案に活用する“経営のための数字”**といえます。

代表的な管理会計のツールには以下のようなものがあります。

  • 変動損益計算書(限界利益や貢献利益の把握)
  • セグメント別(部門・商品・顧客別)の収益分析
  • KPI(重要業績評価指標)のモニタリング
  • 投入工数や稼働率をベースにした「賃率」管理

これらを導入することで、自社の実態を「見える化」し、経営者は感覚や経験だけに頼らない、「見るべき数字に基づく経営判断」が可能となります。

管理会計を入れないことで陥る“誤った判断”

管理会計の不在は、経営判断の精度を著しく低下させます。典型的なのが、以下のようなケースです。

1. 固定費の恣意的配賦による誤解

「部門別損益」を出しているつもりでも、実は本社経費などの固定費を無理やり部門に割り振っているだけ、ということはありませんか?
このような処理は、「儲かっているように見えた部門が実は赤字だった」あるいはその逆といった誤った意思決定を招きます。

2. 財務会計数値に踊らされる

財務会計の決算書は、税務や株主説明のための「外部向け」資料であり、経営の意思決定には不十分です。たとえば、法人税を抑えるための“利益圧縮”処理を見て、「黒字なのに資金繰りが苦しいのはなぜだ?」と困惑した経験はありませんか?

これは、「経営の事実」を知るための数値ではないため、当然の結果なのです。

管理会計導入の意義と効用

では、管理会計を導入するとどんな変化が起きるのでしょうか? 実際の支援現場で数多くの中小企業に導入してきた立場から、その意義と効果を以下に示します。

1. 意思決定のスピードと質が上がる

例えば、「どの商品が儲かっているのか」「どの取引先が利益を生んでいるのか」「今期あといくら売上が必要なのか」といった問いに、明快に答えが出せるようになります。

これにより、“なんとなくの営業”が消え、“狙って売る営業”へと進化します。

2. 生産性の正しい測定が可能になる

「生産性=産出 ÷ 投入(=収益 ÷ 費用)」という公式に基づいて、どの工程で無駄があるのか、どの人員配置が最適かといった定量的な分析が可能になります。

重要なのは、分母(費用)を下げるのが社員の仕事、分子(収益)を上げるのが社長の仕事であるという視点です。

3. 経営の“逆算”が可能になる

管理会計は、「今年はいくら売れそうか?」という“願望目標”ではなく、「いくら稼がなければならないか?」という“生き残るための条件”からスタートする経営を可能にします。

この“逆算型思考”こそが、現実的かつ成果につながる経営判断の基礎になります。

実践例

岩手県内のある中小製造業では、売上は横ばいながら「なぜか利益が出ない」という悩みを長年抱えていました。

弊社の支援で導入したのが、「変動損益による限界利益の把握」と「商品別の賃率分析」でした。これにより、

  • 最低時給を下回る「賃率(限界利益÷投入工数)」の商品・受注が多数あった
  • 高収益商品が営業活動では優先されていなかった

といった“見える化”による意思決定が激変し、結果として1年で償却前赤字が黒字に改善しました。

管理会計は「経営のプラットフォーム」

管理会計は、単なる数字の整理や分析ではありません。それは、会社という組織が「正しく考え、動く」ための“プラットフォーム”のようなものです。

導入すればすぐに劇的な成果が出るとは限りません。しかし、確実に思考と行動の質を変え、長期的な企業価値を高めることに直結します。


ご希望があれば、無料の初回相談や「簡易・管理会計診断」も承っています。


弊社の「管理会計」の考え方は、現在郡山で管理会計実践サポート株式会社を経営されている関洋一先生からご指導を受けたものがベースとなっております。
https://kjs-seki.com/

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