小売業食品小売業D社の経営改善 ― 総菜強化と広域集客で未来を切り拓く小売業
企業概要
- 業種:食品小売業(地域密着独立系1店舗)
- 従業員数:約30名
- 現代表は3代目
A社は創業以来、地域に根ざした食品スーパーとして営業を続けてきました。しかし、大手資本スーパーの進出により競争が激化し、来店客数は減少傾向。価格勝負では太刀打ちできず、新たな戦略が求められていました。
抱えていた課題
- 価格競争の激化
大手スーパーが近隣に多数出店し、価格での勝負は困難。 - 総菜の強みを活かしきれていない
A社の総菜は手作り・高付加価値で差別化可能な商品群であるにもかかわらず、その魅力を十分に発信できていませんでした。 - 販促の限界
折込チラシに依存していたが、新聞購読率の低下で効果が減少。広域からの集客が課題でした。 - 地域人口減少の影響
店舗近隣の高齢化・人口減により、固定客だけでは売上を維持できない状況に直面していました。
HMCの改善支援
HMCは「売上拡大」と「収益構造改革」を柱に、以下の改善策を提案・実行しました。
1. 総菜(デリカ部門)の強化
- 新商品の投入と品揃え拡充。
- コンセプトを策定し、POPやSNSで「他店との違い」を訴求。
- 半調理食品(ハーフデリ)など、時短需要を捉えた新商品開発も進めました。
2. 集客の広域化
- 折込チラシ依存から脱却し、SNSを活用して「広域からの集客」を実現。
- 遠方から「こだわり商品」を目当てに来店する顧客が増加。
3. 外商・配送の強化
- 近隣の医療・介護施設への食材・弁当配送を強化。
- 企業や工場への昼食用弁当配達を新規事業として展開。
4. 経営管理体制の整備
- 月次会議によるPDCAを確立し、施策の成果を数値で検証。
- 人員配置の効率化と報酬制度の見直しにより、従業員のモチベーション向上を図りました。
支援後の成果
モニタリング報告書によれば、以下のような成果が確認されています。
- 総菜部門の急伸
- デリカ部門売上は過去最高水準を更新。
- 全社粗利の約3割を占めるまでに成長し、経営の柱に。
- 広域集客の進展
- SNS発信を通じて遠方からの来店客が増加。
- 従来の「近隣依存」から脱却しつつあります。
- 外商・配送による売上補完
- 医療・介護施設、事業所への配送売上が拡大。
- 地域人口減少をカバーする新たな収益源となりました。
- 収益性の改善
- 粗利率改善。
- 償却前利益は過去10期で最高値を達成。
まとめ
食品小売業A社の事例は、「価格競争に巻き込まれず、強みを活かした差別化戦略」 の成功例といえます。
特に「総菜強化 × SNS活用 × 外商展開」の三位一体の施策は、同業他社にも参考になるモデルです。
HMCは今後も、中小企業の現場に入り込み、数値で成果を確認できる経営改善を支援してまいります。
※事例については、クライアントの機密を守るために、内容調整を行っております。