運送業B社:5期連続赤字からのV字回復
背景
C社は長距離配送を手掛ける運送業者で、年商は数億円。5期連続赤字・債務超過という厳しい経営状況に直面していました。
問題の核心は、燃料費高騰にも関わらず価格転嫁が遅れ、値上げ交渉ができていなかった点。また営業活動が停滞し、良質な取引先が減少、下請け案件が中心となり積載率も悪化していたことも要因となっていました。
HMCの支援アプローチ
1. 危機感の醸成
まず幹部層に「数字の意味」を理解させました。債務超過や償還年数を可視化し、同業他社との比較を提示。「何のために事業を続けるのか」を問い直し、経営者自身が「息子に継がせたい」「帰ってきて欲しい」という想いを再確認する場を設けました。
2. 安心感の提供
一方で「再生の可能性」を示すことも重要でした。利益ドライバー分析を行い、金融機関の支援意向や調整の技術的手法を説明。社内外に「再建は可能だ」という安心感を与えることで、変革に向けた第一歩を踏み出しました。
3. 組織能力の底上げ
次に幹部育成に注力しました。数字を基に議論する習慣を徹底し、営業ターゲットリスト・営業トークスクリプトを作成。さらに営業同行を通じて実践的な営業力を養成しました。
また、「値上げシミュレーション」「混載便積載率シミュレーション」など具体的なシナリオを設計し、実際の意思決定につなげました。
成果
- 経営者は「息子に継がせる」覚悟を固め、幹部へ厳格な目標を設定。
- 計画策定と並行して値上げを断行。
- 計画策定をしながら価格戦略の実行にも支援を入れ、6か月という短期間で数千万円の利益を生むまでに改善。金融機関からの支援(約定弁済継続+追加資金注入)も得られ、財務基盤の安定化に成功しました。
まとめ
C社の事例は、「危機感」「安心感」「組織能力強化」という三段階のプロセスを経て、再建を果たした典型的なケースです。HMCは数字に基づいた分析と人材育成を組み合わせることで、単なる財務改善にとどまらず、次世代につなげる組織変革を実現しました。
※事例については、クライアントの機密を守るために、内容調整を行っております。