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やる気を出させる仕掛けづくりで、
赤字から6期連続の黒字化へ。
株式会社兼平製麺所
代表取締役社長 兼平賀章
掲載日:2025年10月1日
HMCにコンサルを依頼した経緯を教えてください。
兼平:当時、メインの取引先だったのがサークルKサンクスというコンビニエンスストアで、中華麺や蕎麦、パスタといった調理麺を製造していました。しかし、ファミリーマートと統合した2018年にサンクスは消滅し、それまでの取引もすべて白紙になったんです。売上の3分の1を占めていましたから、かなりの打撃でした。
当社は、セブンイレブン以外の全てのコンビニと取引がありまして、失った利益分を挽回すベく他社のコンビニとの取引を拡大していったのですが、納品エリアや契約条件などの問題もあり、コストがかさむばかりで採算が取れない状況が続いていたんです。そんな時にメインバンクに紹介してもらったのが、HMCの星野社長でした。以前、星野さんがよろず支援拠点でシニアアドバイザーをしていた時にお会いしたことがあったので、「この人なら」とお願いしたんです。
どのように立て直しを図っていったのでしょう。
兼平:まず、銀行に返済していく上で、事業計画を作成する必要がありました。星野さんに会社全体のことを把握してもらった上で、経営陣や課長級以上の幹部候補8名とマンツーマンで面談を行ってもらったんです。その一方で、匿名という形で社長である私に対する本音も引き出してもらいました。第三者の立場から客観的に話を聞いてもらうことで、会社の課題をしっかりと掘り下げることができたと思います。

どのような点が課題として指摘されましたか。
兼平:まず、従業員の意識の低さですね。それまでは私からの指示がないと動けないというか、自ら考えて動くことがあまりなく、離職率も高かった。私自身も以前から、そこが弱いなと感じていました。そこで星野さんと相談して、若手の幹部候補の中から会社のキーマンになりそうな社員を二人選び、彼らを集中的に教育することで、自ら動いて稼ぐという意識を全体に浸透させていくことにしました。その二人にはそれぞれ目標を与え、互いに切磋琢磨しながら目標を達成していけるようにしたんです。頑張った成果が報酬として返ってくることを実感することで、働くモチベーションが上がりましたね。
その姿を目の当たりにして、従業員の皆さんにも変化が生まれたのではないですか?
兼平:実は、以前から工場の増築を計画していたんです。ところが、計画当初より売り上げがほぼ倍になり、生産量が増えているにもかかわらず、建築資材費の高騰などもあって工場の増築計画を変更することが難しい……。そうなると現状の体制のまま増産に対応しなければなりません。以前だったら社員たちは「無理です、できません」で終わっていたのですが、今はどうしたら実現できるのかを、各々が考えて工夫するようになりました。現場を一番よく知っているのは社員たちですから、自分たちで改善しようと動いてくれています。
その一方で、役員の意識改革も必要でした。私は二代目で、弟が専務、長女の娘婿が営業部長を務める同族経営で、同業他社に出向している長男も近いうちに戻ってくる予定です。私自身もそうなのですが、身内だとどうしても甘くなるし、面と向かって指摘しにくいじゃないですか。その点、星野さんは一切お世辞を言わないし、絶対に妥協しない人。「身内だからといって甘えは許されない」と役員たちを厳しく正し、改めて役員としてすべきことを指導してくれました。

同族経営だからこその弱点ですね。
兼平:星野さんは、数字に対してもとことんシビアです。当社の場合、どうしても取引先の契約条件に価格が左右されるのですが、利益から逆算して様々なコストを管理できていないことを指摘されました。そこで、製造現場の若手幹部候補に目標を持たせて、それぞれの持ち場でコストの削減を工夫するようにしたところ、徐々に利益を確保できるようになりました。
こうした状況を全体で共有し、さらに改善するために、毎月1回、各部署の幹部が集まって、「経営発表会」という形で前月の目標達成度を振り返っています。ここにも星野さんに入ってもらい指導していただいているんですが、なぜこんな数字になっているのか、目標を達成できない原因をかなり厳しく追求されますから、社員たちの目の色が変わりましたし、取り組み方も全然違います。発表会に参加するメンバーも徐々に増やしていまして、現在は15人ほどになりました。月1回の会議で全てを詳細に検討することができないので、今は15人を2つのグループに分けて発表会を開催するようにしています。
参加する社員を増やすことで、経営参画を「自分ごと」にしているんですね。働き方や休みの取り方も工夫していると伺いました。
兼平:当社の取引先は、コンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストアに集中しています。365日営業するところがほとんどですから、商品を提供する私たちもそれに対応しなければなりません。これまではシフト制で休みを組んでいたのですが、今は変形労働を導入しています。
当社が製造する調理麺や袋麺が売れるのは圧倒的に夏場が多いんです。繁忙期である4月〜9月は休みを月6回に減らして、そのぶん10月〜3月の休みは月12回に増やすという形を取っています。そうすることによって、夏場の人員を手厚くすることができますし、社員もそれを前提に休暇の計画などを立てやすくなりましたね。

HMCにコンサルをお願いしたことで会社にもいろいろな効果が現れているんですね。
兼平:星野さんに指導してもらう前は2期連続で赤字でしたが、今は倍近くに売り上げが伸び、6期連続で黒字化を達成しました。利益を出せない原因や会社の課題を浮き彫りにし、それを解決するために社員の意識や行動を変えられたことが大きかったと思います。先ほど会社のキーマンとして二人の幹部候補を育成している話をしましたが、それに影響されたせいか、今はもう一人現場を引っ張る社員が育ってきまして、若手の3人が中心となって会社を盛り上げてくれています。
会社としても、こうした社員たちの頑張りに応えるために、評価制度の導入を進めているところです。取り組み方次第では昇格もあれば降格もあるので、ダイレクトに給与に反映されます。頑張って成果を出した社員は、給与も上がれば役職も上がりますから、やる気のない社員との差がどんどん開いていくと思います。また、階級ごとにおおよその収入基準を設けることにしていますので、キャリアプランと同時に今後の人生プランも立てやすくなるはずです。評価制度は、1年間の試験導入期間を経て、再来年から本格的に導入する予定です。
今後、どのような姿を目指していますか?
兼平:2030年までに最低賃金を1500円に設定するという話がありますので、給与を支払えるように毎年の生産性を上げていくことが直近の課題としてあります。また、250名の従業員のうち130名が外国人ですので、人員確保という問題も抱えています。現在は、ベトナム、ミャンマー、インドネシアの従業員が多いのですが、その中の優秀な従業員は特定技能2号を取得しましたので、コミュニケーションの部分も含めて、彼らにとって働きやすい環境も考えていかなければなりません。
星野さんの指導のおかげで、幹部や従業員の意識も変わり、自ら考え、動く体質に変わりつつあります。今後は後継者育成でもお力を借りたいと思っていますので、これまでと変わらず厳しく指導していただければありがたいです。
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